英会話を早期教育するのは正しいか?それとも間違いか?
英会話はなるべく早く始めたほうが良いとよく聞きますが、その根拠や理由を明確に説明できる方は、意外に少ないかもしれません。中には、漠然と「子供は頭が柔らかいから何でも吸収しやすい」という理由で、小さなお子様を英会話教室に通わせている親御さんもいるのではないでしょうか。
ここでは、英会話を早期教育する具体的なメリット・デメリットを確認するとともに、本当に早期教育が子供に役立つのかを考察してみたいと思います。
英会話を早期教育するメリット
英会話を早期教育する主なメリットを3点ほど見てみましょう。
- 早ければ早いほど英語を聞き分けられる耳が育つ
日本語と英語では、発音における周波数帯が異なります。この違いを正確に聞き分けられる耳(英語耳と言います)を育てるためには、少しでも早い時期から英語の正しい発音に触れることが重要と言われています。
- 英語を英語のままで考えられる脳が育つ
英語を聞いて英語のままで理解する能力(英語脳と言います)は、英語を勉強する日本人にとって鬼門と言われています。無理なく英語脳を養うためには、英会話の早期教育が有効とされています。
- 英語の絶対的な勉強時間が増える
英語と似た言語を話す国々(ドイツやフランスなど)の人が英語を習得するためには、約480時間の勉強が必要と言われています。一方で、英語と全く異なる言語を話す国々(日本や中国など)の人が英語を習得するためには、2,400時間以上の勉強が必要と言われています。
早くから英語の勉強を始めれば英語の絶対的な勉強時間が増えるため、その分、英語の習得時期も前倒しになることでしょう。
英会話を早期教育するデメリット
英会話を早期教育する主なデメリットを3点ほど見てみましょう。
- 英会話の勉強を強要すると英語嫌いになる恐れがある
子供が進んで英会話を習っているようなら問題はないのですが、中には「親から無理やりやらされている」という感覚で英会話スクールに通っている子供もいるようです。親の考えを無理に子供に押し付けてしまうと、将来、英語嫌いになってしまう恐れがあるので注意しなければなりません。
- 論理的な思考力の成長に影響を与える恐れがある
幼いうちに日本語と英語を同時に習うことで、どちらの言語においても論理的思考力が未発達になる、という有名な説があります。実感としては理解できない方も多いかもしれませんが、これは英語の早期教育に対する最も有名な反対意見なので、親御さんは覚えておいたほうが良いかもしれません。
- 日本の公立小学校・中学校で浮いた存在になることがある
良質な発音で英語を習得済みの子供は、一般的な公立小学校・中学校に進学した際、やや浮いた存在になってしまうことがあります。英会話は大切ですが、友達との関わり方のほうが人としてより重要であることを、親御さんからお子様へ伝え続けることも大切でしょう。
英会話を早期教育する意味はあるのか?
英語の早期教育にはメリットもデメリットもありますが、身近に知っている知人の子供たちの例を見れば、多くの方はメリットのほうが大きいと感じることでしょう。親御さんがそのように感じるのであれば、ぜひ英語の早期教育をやらせてみてください。
ただし、最大の注意点は子供に英語の勉強を強要しないこと。「小さな頃の習い事に対し、大人になって肯定的な感情を持つ人は少ない」というデータもあるようなので、嫌がることを無理強いすることは、以後に何年も続く英語の勉強の視点からも良くありません。
英会話を習うお子様の様子をよく観察しながら、前向きな気持ちを維持できているようであれば続けさせる、という見守りのスタンスで臨んだほうが良いでしょう。